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認知症の人が病院受診を拒否したときの病院受診のすすめ方と考え方

最近、お父さん、財布がない、通帳がないなどしょっちゅう言って、いつも探し物をしている。

 

あんなにおしゃれだったのに、洋服もなんだかちぐはぐ。

 

物忘れもひどいし、病院に連れていこうとしたら、「私はどこも悪くないから、病院になんて行かない」そう言う。

 

困って、家族全員で説得したら、「私を病人扱いするのか。邪魔者にするのか」

 

そう言って怒って病院受診を拒否されてしまった。

 

このような時には、家族としても心配のあまり、物忘れがひどくなっていることや、できなくなってしまったことを挙げ、理論的に説得し、病院受診を勧めることもありますが、それでは逆効果です。

 

この記事では、認知症の人が病院受診を拒否したときにどのように対応したらいいのかについてお伝えします。

動画もわかりやすくておススメです↓

理論的に説得するのは逆効果

物忘れがひどくなってきたり、探し物が多くなってきたり、今までできていたことがスムーズにできなくなってくると、家族としては認知症を疑い、本人のことや、今後のことを心配し、病院を受診してほしいと思って説得しているのに、拒否される。

 

認知症の人が病院受診を拒否する理由は認識が変化や認知機能の低下、自分の障害が自覚できないなどですが、このような状態で、家族から強い口調で言われたり、理論的に説得されたり、自尊心を傷つけられるような言葉がけをされると、気持ちが焦ったり、理解できずに混乱したり、追い詰められたりします。

 

このように気持ちが焦ったり、混乱したり、追い詰められたりすることが続くと、BPSDという症状がでたり、認知症の進行が早まることもあります。

 

認知症があっても、よりよい生活をするために病院受診をするのに、病院受診をめぐって認知症の症状が悪化するのでは本末転倒です。手段が目的にならないように、アプローチしましょう。

 

本人の困りごとからアプローチ!

病院受診をしたくないという場合、理論的に説得するのではなく、不安や不満、困りごとを見つけ、本人の感情が納得できる方法でアプローチします。

病院受診を拒否する理由を見つける

まずは、なぜ病院受診を拒否するのか、本人の視点から「不安」や「不満」などの困りごとを見つけましょう。

例えば、病気と言われるのが「不安」

待ち時間が長くて疲れることが「不満」

病院で知人に会うのが「不安」

行く必要がないのに行けと言われる「不満」

家族にいろいろ言われるのが「不満」

病院に慣れていないから「不安」

病院で知人に会うのが不安という人に、病院は怖くないといっても、響きません。

ですから、その人が持っている不安や不満、困りごとを知ることがまず必要なのです。

病院受診するための「不安」や「困りごと」を見つける

また、病院受診のきっかけをつかむためには、本人が感じる心身の不安や日常生活上などの困りごとを見つけましょう。

いつも探し物をしている自分に不安を持っているかもしれません。

以前よりできなくなってきた自分に不安を持っているかもしれません。

頭がボーっとしていることに不安を持っているかもしれません。

体に不調があり、それを不安に思っているかもしれません。

健康上の不安を感じているかもしれません。

ぼーっとしていることを不安に思っている人に、物忘れがひどいから云々と言っても、響きません。

ですから、その人が持っている不安を知ることがまず必要なのです。


この2つの不安・不満、困りごとを見つけたら、それをきっかけに病院受診できるように、今までの生活習慣や本人の性格を考慮して、アプローチをします。

 

例えば、毎年、健康診断を受けていたなら、その習慣からアプローチする。
健康診断を受けるということは、病気を早期発見したいという欲求があります。そこからアプローチし、病院(治療に行く)のではなく、健診(病気の予防のため)を病院に行くきっかけにすることもできるでしょう。

 

例えば、家族のいうことは聞かないのなら、友人など信頼できる第三者に頼むのもいいでしょう。

 

家族としては、早く受診させよう、早く検査をしようと焦る気持ちもあるかもしれませんが、病院受診を拒否する場合、本人と家族、病院との信頼関係を作ることを目的に、まずは病院受診をすすめてみましょう。

 

最初はしぶしぶでも、病院や医師との信頼関係ができれば「実は、最近体の調子が悪くて」と自ら医師に相談できるようになる可能性が大きいです。

 

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認知症の人が受診を拒否する理由と受診のための3つのポイント

 

説得ではなく導く

健康な時であれば、病気やけがによる痛みや不便さなどの困りごとを解消するために病院に行きます。 

 

病院受診の必要性がわかるからです。

 

健康な時であれば、病気やけがをしたら、病院に行きます。それは病気やけがによる痛みや不便さなどの困りごとが適切な治療によって解消することがわかっているからです。

 

ところが認知症になると、認識の変化や認知機能の低下により、自分の障害がわからなくなったり、自分や周りの状況を判断することができません。

 

自分の困っていないことで病院受診を勧められても、病院に行く理由がわからないので、拒否につながるのです。

 

だから、本人が不安に思っていること、困っていることを見つけることが重要です。
 

そうすることで、自ら病院に行こうという気持ちになるのです。

 

病院受診の必要性がわからないのに説得されると、自分の意思や意見を遮られているようで腹も立ちますが、自分の困りごとを解決してくれるような方向に導いてくれるのなら、感謝も生まれます。

 

病院受診の必要性を理論で説得するのではなく、相手の困りごとを解消するというアプローチをとることで、病院受診のきっかけになるでしょう。

まとめ

認知症の人は、誰かを困らせようとして病院受診を拒否しているわけではありません。

 

病院に行く必要性がわからなくなったりするから、病院に行かないのです。

 

病院受診を拒否するとき、まずは、認知症の人の「不安」や困りごとを探してみましょう。

 

また、もしあなたが認知症になってしまったらこのように対応をしてもらいましょう。

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認知症の人の「不安」や困りごとを見つけて、それに合わせてアプローチするケアをすることで、どんより介護からおだやか介護になるでしょう。

 

 

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