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同じ質問を何度もする理由

 

「あれ?あなた高橋さんだっけ?」

デイサービスの送迎車で、
Bさんに聞かれます。

家まで送る間に5回同じことを
聞かれました。

認知症の人は同じ事を何回も言ったり、
聞いたりします。

 

それはなぜでしょうか?

 

過去と現在という観点から
みてみましょう。

 

 

人は何か思い出す時、
何かを考える時には
無意識にまずは
自分に質問をします。

まず自分に対して
「夜ご飯、何を食べたっけ?」
「この人の名前はなんて言うんだっけ?」など、
疑問はまず自分に質問をします。

私たちは自分にされた質問に
自分で答えているわけです。

「夜ご飯何を食べたっけ?」
それに対する回答を自分でしますよね。

 

もしよろしければ、今この場であえて、
「夜ご飯何食べたっけ?」と
自分に聞いてみて下さい。

どんな答えが返ってくるでしょうか。

 

私なら「夜ご飯?今は夜の10時だから
3時間前にお米とシャケと、
ほうれん草のおひたしと、
豆腐と油揚げのみそ汁とサラダを
食べた」と答えます。

 

 

では、セミナーで新しい人に
出会ったとします。

その人の名前を思い出そうと
自分に質問する。
「あの人の名前はなんだっけ?」

「あの人の名前は林だよ」
その答えがあるからこそ、
自分で納得して、
誰かに聞かずにいるわけです。

しかし、認知症の人は
自分に質問したとしても、
憶えていないので
答えを出す事ができません。

「夜ご飯なんだった?」
「この人の名前はなんだっけ?」
と自分に質問しても
「なんだっけ?わからない。」
それが自分の答えになります。

このように自分で答えられなかったら、
誰かに聞くしかありません。

それは近くにいる家族であったりとか、
自分と関係がありそうな相手が
多いでしょう。

誰でもそうですが、
自分に近しい人から聞きたいのです。

 

だって、誰だって
信頼関係がない人に聞くのは
嫌ですよね。

だから信頼関係がある
親しいあなたに聞くのです。

 

 

そして、なんで何度も聞くかというと、
『気になるから』です。

 

記憶が正常であれば、
気になっている事を聞いたら
忘れません。

 

気になっているからこそ、
誰かに聞いたら
憶えていられるわけですが、
認知症の人は病気のせいで
憶えられないのです。

 

憶えられないけど、
すごく気になる。

気になるけど憶えられないから、
自分に何度も聞きます。

 

 

「あれ?あの人の名前なんだっけ?」

でも憶えられないので答えられません。

 

自分に聞いてもわからなければ、
誰かに聞くしかありません。
これを繰り返しているのです。

 

だから、認知症の人に
同じ事を何度も聞かれたときには
あなたが相手の記憶に
インパクトを与えたという事です。

 

憶えていたい何かをあなたが
相手に提供したから、
何度も聞かれるのです。

 

そして、同じ事を何度も聞かれるのは
「聞いても大丈夫な相手」と
認識しているからです。

 

あなたに信頼を寄せているからです。
自分の代わりに答えてくれる相手だと
思っているからです。

 

 

何度も同じ事を聞かれて
答えるのはそう容易いことではないかも
知れません。

もちろんその対処方法もありますが、
なぜ同じ事を何度も聞くのかを知っておくと
受け取る側の気持ちも
ちょっとは違うかも知れません。

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