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認知症の家族が時間に合わせて準備ができずイライラする場合の対処法

時間に合わせて準備ができない人


「8時までに準備しろって言っているのになんだかな〜、できないんですよ。こっちだって用事があるのに困っちゃうよ」

デイサービスに通うCさんの旦那さんが呟いています。

認知症になると時間感覚がわからなくなり、「長時間待つ」とか、「予定に合わせて準備する」ことができなくなります。

●自分で着替えたりはできるのに、時間を守ることができない。

●準備をしないで、座っている。

●時間に間に合わないと困ると思って、前もって出かける時間を伝えているのに、時間までに準備ができない。

●「さっき言ったのに、なんでまだ準備していないの?」と何回も言うと怒り出す。

『私だって、予定や生活があるのに』そう思って毎日イライラしてしまいます。どうしたらいいでしょうか?

このようなご質問をいただくことがあります。

7時に迎えに行くからそれまで準備していてね。と朝6時に電話しても準備できていない。

8時にデイサービスのお迎えが来るからそれまでにちゃんと準備しておいてね。何度言っても準備していない。

前もって言っていたはずなのに。

このように、自分の用事もあるのに、自分以外の理由で物事がなかなか進まないのは辛いですよね。

ついつい「なんでまだ準備していないの?」このように何度も言う場合もあるでしょう。

その気持ちはわかりすぎるほどわかりますが、このように言っても解決しないことが多いですし、それどころかBPSDと呼ばれる認知症の症状が出現する可能性もあります。

このブログでは、認知症の家族が、前もって言っているのに準備してくれなくてイライラしてしまう場合の対処法についてお伝えします。

なぜ認知症の人は時間に合わせて準備ができないのか

まず知っておいて欲しいのが認知症の人が時間に合わせて準備できない場合、認知症による記憶障害見当識障害原因であるということです。

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記憶障害があると、いま何時かという時間はわかっても、“○時までに準備をしておく”というやるべき行動を憶えていられません。

また時間の見当識障害があると、今の時間がわからなくなったり、時間の経過がわからなくなるので、○時がわかりませんし、あと30分と言われても、わかりません。

このような原因により、認知症の人が時間通りに準備できなくなってしまいます。

認知症の人に時間通りに行動してもらうこと自体がそもそも間違え

多くの人が認知症の人が時間通りに準備できない場合、怒ったりしますが、そもそも怒ってもしょうがありません。

なぜなら準備ができない原因が認知症の中核症状である「記憶障害」や「見当識障害」だからです。

認知症の人は別に前もって介護者が伝えた時間を聞いていないわけでもないですし、約束を破るつもりもありません。

別に介護者のことや介護者のいうことをないがしろにしているわけでもありません。

認知症による記憶障害や見当識障害といった中核症状により、できないだけです。

中核症状を怒っても、それは認知症によるものなのでどうしようもありません。

介護者から見たら、時間を前もって説明していても、本人からしたら憶えていないし、時間もわかっていません

わからないものをやれと言われてもできるわけがありません。

それなのに何度も、なんで準備していないの?と言われると混乱してしまいます。

なぜならなんで?と聞かれても、答えられないからです。

本人も、なんでわからないのかがわかりません。

答えられない質問をされると、混乱して、怒りにつながります。

介護者がイライラしないために必要な事

ではこの場合の介護者がイライラしないで毎日を送るためにはどうしたらいいのでしょうか?

それは
●認知症の人が時間に間に合うように準備すること
●介護者が自分の時間も確保すること
●介護者の段取りを邪魔されないことではないでしょうか?

そのためには、準備できない原因がどこにあるのかを知り、そこにアプローチしましょう。

記憶障害が原因なら、記憶障害を補うようなケアをしましょう。

例えば、記憶障害によって『○時までに準備をする』ということを憶えていられなければ、時間と必要な準備を紙に書いてわかるところに貼っておくのもいいでしょう。

このように行動を具体的にメモなどで繰り返し伝えることで記憶障害を補います。

やらなくてはいけない行動(この場合なら○時までに〇〇を準備する)がわかれば、時間までに準備をすることができます。

時間の見当識障害が原因なら、見当識障害を補うように声をかけましょう。

例えば自分で時間を把握することが難しいのならば、その都度説明しましょう。

「この洋服に着替えて」
「かばんの中にハンカチとチリ紙を入れて」
「出かける前にトイレ言ってきて」

このように時間でやることを伝えます。

今の時間と、その時間にやることを知らせましょう。今、何をすればいいのかを伝えてできるようにすればいいのです。

そうすれば自分で洋服を着替える、トイレに行くなどは自分ですることができます。

このようにケアすれば時間までに準備をするという一連の行為はできなくても、一つ一つの行動をすることはできます。


記憶障害と見当識障害の両方によって準備するのが難しければ、介護者が時間までに準備をしておきましょう。

そのためには、段取りを考え直す必要があるかもしれませんが、それを想定して段取りを組めば、まったく想定しないで段取りを組んで遅くなるより、ストレスは溜まらないでしょう。

このようにできる事、できないことを見極めることで認知症の症状に心も体も振り回されなくなりますし、症状と上手に付き合うことができるようになります。

でもそうは言っても、毎日のことだと辛いですよね。また遠方に住んでいて、ずっとケアしていられない、そういう場合もあるでしょう。

介護者が心身ともに疲れてしまうのは介護をするうえでもよくありません。

そういった場合は、介護サービスなどを上手に利用しましょう。準備する時間に訪問介護を使えば、朝の貴重な介護者の時間もとれ、専門家にアドバイスを受けることもできるでしょう。

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