「最近目が悪くなっちゃって」
デイサービスにきているAさんがぼやいています。
もちろん年齢とともに多少、
目が悪くなっているとは思いますが、
本当に目が悪くなっているのでしょうか?
実は目が悪くなるという表現は、
視力が落ちている場合と、
認識する力がおちている場合があります。
年をとると、
目の周りの筋肉が衰えたり
レンズの調節機能が落ちたり
目の機能が落ちたりして
物理的に物が見えずらくなります。
認知症になると
自分の認識できるものが
減ってきます。
認知症になって
ものの名前がなくなってくるとると
それはその人にとって
わからないものになります。
日常生活の中で
わからないものが多くなってくると、
「最近目が悪くなっちゃって」
という言葉がでてくるのです。
なぜなら私たちは、
目に入るものをすべて認識して
生活しています。
少なくとも日常生活の中には
自分の認識できるものしか
ないはずです。
今までは、
すべてを認識して生活してる
という思いがあるので、
日常生活の中でわからないものが増えてきた
=目が悪くなったとなるわけです。
私も家でよく探し物をします。
目の前にあるのに、見つけられない。
目玉がビー玉なのかな?って思う瞬間です。
でも、目の前にあるのになぜ探せないのかと言ったら、
その瞬間だけ物理的に目が悪くなったわけではなく
認識していないからです。
それと同じで、認識することが
病気のせいでできなくなってしまうのですが、
自分が認識ができなくなってきたとは
誰も考えまぜん。
そもそも忘れていく過程にあるので、
名前がなくなってきている
(認識できなくなってきている)ことが
わからないのです。
もし、認知症の人が
目が悪くなってきたと言うときには
もしかしたら認識の回路が細くなってきているのかな?
と考えてみましょう。
そして、何かを説明するときに
キーワードを増やして説明すると
相手の不安も軽くなり、
話が通じやすくなります。