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高齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いとは?これって認知症?

認知症のセミナーをしているとよく

「最近物忘れがひどくって、これって認知症でしょうか?」

と聞かれることがあります。

年をとれば誰でも記憶力は低下しますし、判断力が落ちることもあります。

もの忘れをするようになると、自分は認知症じゃないかと心配になりますよね。

では、高齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違いは何でしょうか?

認知症になると記憶ってどうなるの?

まず、人の記憶とはどのようになっているのでしょうか?

記憶を簡単に説明すると、

視覚、聴覚、触覚などから入ってきた情報は、脳の海馬というところで処理され、脳に格納されます。格納されると記憶になります。

このようなプロセスを経て、情報が記憶になり、それを保っています。

高齢又は認知症の初期
ところが高齢になったり、認知症の初期になって、海馬が萎縮してくると、入ってきた情報を処理して、脳に格納することが難しくなります。

そうすると、情報を憶えること(記憶)が難しくなります。

この場合、助けてあげることで、情報を記憶にすることができます。その助けとは、メモを取ってそれを見るとか、何度も言うなど、繰り返し情報を入力することで、情報を憶えることができます。

認知症が進行すると
認知症が進行してくると、海馬の萎縮が進み、入ってきた情報を処理することすら難しくなります。

それだけではなく、脳も萎縮するので、格納した情報がなくなってしまいます。

その結果、いままであったことを忘れてしまいます。

新しいことが憶えられないのはもちろんのこと、今まであったことも忘れていってしまいます。

参考:厚生労働省政策レポート「認知症を理解する」より

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高齢によるもの忘れと認知症によるもの忘れの違い

では、認知症になってもの忘れをするということはどういうことでしょうか

高齢によるもの忘れ認知症によるもの忘れ
行為に対する記憶ヒントがあれば思い出す行為そのものを忘れる
記憶からすっぽり抜け落ちる
他の認知機能への影響少ない他の認知機能も障害される
(見当識障害・実行機能障害など)
不安少ない認知症が進行するに従い強くなる

高齢によるもの忘れは、自分が忘れたということを自覚しています。例えば、昨日買い物に行って、買ったものを忘れてしまっても、買い物をしたこと自体を忘れることはありませんし、毎日行っているスーパーのなかで迷うこともないでしょう。それは行為そのものは覚えているし、今までの記憶があるからです。

「昨日はなに買ったんだっけ?」って思っても、買い物に行ったのは覚えている。冷蔵庫を開けて、牛乳があるのを見れば、「ああそうだ、牛乳を買ったんだ」と牛乳を買ったシチュエーションと共に思い出すことができます。入口から牛乳売り場までの道筋も思い出すことができます。

また、高齢によるもの忘れがあっても、そのほかの認知機能に影響はありません。忘れることにより、判断ができなくなったり、理解力への影響は少ないです。

ところが認知症になると、病的な物忘れにより、体験自体を忘れてしまいます。買い物に行ったこと自体を忘れます。

買い物に行ったことを憶えていない。だから、冷蔵庫に牛乳があると「あれ?牛乳がなかったのに、なぜだか牛乳が家にある」とびっくりしてしまう場合もあるのです。

他にも、買い物に行って魚を買ったけど、冷蔵庫に入れ忘れて次の日腐っていた。「こんな腐った魚を売るなんて、なんて店かしら」って怒ってみたり。

買い物に行ったこと自体を忘れるだけならまだいいのですが、そこにネガティブな感情が加わると、「家に勝手に入って、人んちの冷蔵庫を勝手に使う人がいる」「あそこの店は腐ったものを置いている」など被害妄想などにつながってしまいます。

また、もの忘れにより、物事が認識できなくなってきます。それにより、そのほかの認知機能に影響を及ぼします。例えばお箸を見ても、何をするものだっけ?どうやって使うんだっけ?と認知症になる前のようにスムーズにお箸を使えなくなります。

私たちは食事の時に食べ物とお箸が出てきたら、何のためらいもなく、何も考えなくても、無意識でお箸を手に取って、お箸を使って食事をすることができます。

ところが認知症によるもの忘れがあると、食事の時に食べ物とお箸がでてきたら、「この2本の棒は何だっけ?」などと、一瞬考えるようになります。無意識で、お箸を使うということができなくなります。

このように、道具や物事を認識できなくなるので、判断力や理解力に影響を及ぼします。また、判断力や理解力が低下しているため、認識できなくなるというようにお互いに悪影響を及ぼします。

このように物事の認識が少しづつ出来なくなってきますが、それを自覚することもできなくなってくるので、なぜできないのかがわかりません。

先の例で言ったら、なぜ、お箸を見てわからないのかっていう理由なんてわからないですよね。

認知症になる前は、自分の住んでいる範囲のことはすべて自分で把握できていたのですから。でも認知症になると、いままでできていたことが、なぜだかわからないけど、できなくなる。

だから不安もどんどん強くなってきます。理由がわからないのにどんどんできない事が増えていくから。理由がわからないという恐怖や不安です。

それが認知症によるもの忘れです。

ですので、高齢による物忘れと認知症による物忘れの違いは、

・行為そのものを忘れてしまう。記憶からすっぽり抜け落ちるため、指摘されても自分が忘れたという実感がありません。

・もの忘れにより、認識ができなくなってくる。それにより他の認知機能にも影響を及ぼし、また認知機能が低下することにより、さらに認識ができなくなる。

私たちは、忘れるということを、『憶えていることを思い出せない』を忘れるだと思っていますが、認知症になると、『記憶そのものがなくなる』というのが認知症によるもの忘れなのです。

認知症に対する正しい知識を身につけることが不安を軽くする

自分が認知症になったらどうしよう?この症状は認知症なのかな?このような不安や感情がどこから来るのかというと、『知識がない』『明るくない』要は無明の状態から、不安や恐怖は生まれます。

不安や恐怖をなくすためには、知識を得る、認知症の正しい知識を身につけ、認知症に備えることが一番です。

認知症になってないからこそ、認知症になった時の事を学ぶ必要があると思います。

高齢に伴うもの忘れと認知症によるもの忘れの違いがわかれば、自分のもの忘れはどちらなのか、またどうやって対応していいのかがわかります。

自分や家族が認知症になったらを想定し、どういう症状なのか、どういう言葉を書けたらいいのか?どんな対応をしたらいいのか?

それを言語化できていたら安心できませんか?

家族にそれを伝えておいたら安心ではありませんか?

認知症者への対策だけではなく、自分がなった時のリスクを考えて認知症を学ぶこともこれからもっと大切になると思います。

そこで、当協会では、「認知症の取説セミナー」を行っています。

認知症の世界を知って、認知症の知識を学び、自分がなった時の取扱説明書を考えてもらう。

そんなセミナーです。

もし、自分が認知症になったらどうしよう。

そう少しでも考えている方は一度セミナーを受けてみてください。

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