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認知症で怒る原因

「こんにゃろ~」

デイサービス利用者のAさんが
怒っています。

何も怒らせるようなこと
してないんだけどな~。

今日はどうしたんだろう?

認知症になると、このように
理由もなくイライラしているように
見えることがあります。

特に怒らせるようなことは
していないと思うんだけど、
イライラしている。

不機嫌でいつもよりさらに
話を聞いてくれない。

そんな経験はないでしょうか?

理由もなく
イライラしているように見えますが、
もちろん理由があって
イライラしています。

その理由はれはお腹がすいたとか、
暑い・寒い、便秘で苦しい、
風邪で体調が悪い等、
私たちから見たらささいなことでも
原因になり得ます。

ただ自分では
なんでイライラしているのかは
わかりません。
言葉にできません。

原因がありますが、
それも本人にはわかりません。

原因もわからないし、
なんでイライラするかわからないって
どういうこと?
と思われるかも知れません。

実は人間は物事に名前を付けること、
その名前を知ることで
その物事を理解しています。

ではその名前を忘れてしまったとしたら
どうでしょう?

認知症になると物の名前を忘れていきます。

名前があるのは目に見えるものや
物質だけではありません。
目に見えないものにも名前はついています。

「空気」は目に見えないけど、確かにここにあります。

名前のないものは考えることが難しく、不安定です。
例えば自分の名前がなかったらどうでしょう?
存在はしますが、混乱や、困惑、不安定感がありますね。

心、感情もそうです。

今感じている感情の名前がわかるから
私たちは感情を処理できるのです。

例えば、子供ってお腹がすいたり
眠い時、不機嫌になって
ぐずぐずと泣きます。

小さい子供は「お腹がすいた」という状態が
どんな状態かわかりません。

体がだるくて
言われたことがうまくできなくても
「眠いから」ということが理解できません。

言葉の意味、感情の名前・意味を知りません。

なんだかわからないけど
不快であるという気持ちがあり、
なんだかわからないからこそ余計に
不機嫌になるのです。

その感情、状況を表す言葉を知らず
「不快である、気持ちが悪い」
という感情でしかないからです。

不快だから当然泣くわけです。

言葉が喋れても
感情を表すことができないので
どうしていいのかわからずに泣くのです。
不機嫌になってぐずるのです。

認知症の人も同じです。

感情が表わすことのできない大人は、
不機嫌にはなりますが泣きません。

そのかわりに不快であることを
他の言葉で言い表します。

でもその説明は支離滅裂であったり、
筋が通っていなかったり、
全然関係のないことだったりします。

そして不快の度数が高ければ高いほど、
気持ちがわからなければわからないほど、
不機嫌でイライラし、
よくわからないことを言うのです。

自分の体の状況や感情を説明できるのは
高度な技術なのです。

じゃあどう対応したらいいのでしょうか。

もし3歳くらいの子供が不機嫌に
グズグズしていたらどうしますか?

まず原因はなんだろうと
考えてみますよね?

子供は上手く表現できないことを
知っているから。

本人や周囲の状況から推測して、
お腹がすいたのか、
のどが乾いたのか、
眠いのか、
暑いのか、
想像して対応しますよね。

認知症の人の対応も同じです。
認知症のせいで、
上手く表現できなくなっているのです。

「不快になっている自分の原因が
説明できない」

その点では子供と同じなので、
相手はそういう状況なんだと知り、
介護者が原因を想像して対応することで
お互いのストレスが減る介護が
できるのではないでしょうか。

ちなみに冒頭のAさんは
便秘でおなかが苦しくて
怒っていました。

便がでるように介助したら
イライラもなくなったのです。

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