
認知症の母が夜寝てくれなくて、介護が辛いです。毎日毎日ほとんどが起きてます。その辺をガチャガチャいじったり、大きな声で喋ったり、「早く寝て」と何回も言うと逆上して、からだ全体で暴れます。心身共に疲れてしまいます。どうしたらいいでしょうか?
このようなご質問をいただくことがあります。
一緒に暮らしている認知症の家族が夜眠ってくれない。それどころか活動を始める。そのせいで、自分も起こされる。眠りたいのに、眠れないのは辛いですよね。
ついつい「今は夜だから早く寝て!」このように何度も言う場合もあるでしょう。
「早く寝て!」そう言いながら活動を止める場合もあるでしょう。
その気持ちはわかりすぎるほどわかりますが、このように言っても解決しないことが多いですし、それどころかBPSDと呼ばれる認知症の症状がひどくなる可能性もあります。
このブログでは認知症の家族が夜に眠ってくれなくて辛い場合の対処法についてお伝えします。
なぜ認知症の人は夜眠らなかったり夜中に活動をするのか
まず知っておいて欲しいのが、認知症の人が夜眠らないとか夜に活動する場合、病気や加齢、認知症による認識の変化が原因であるということです。
認知症の人が夜眠らない、夜に活動する理由はいくつかあります。
・認知症や加齢に伴う不眠症
・原因となる病気による睡眠時随伴症
・認知症による認識の変化
認知症や加齢に伴う睡眠障害
アルツハイマー型認知症では、脳神経の障害により、睡眠が浅くなったり、途中で目が覚める時間が増えます。
参考:認知症の睡眠問題
また年齢を重ねるにつれ、睡眠障害の要因が増えていきます。
日中の活動性が乏しく,基礎代謝も低いために睡眠のニーズそのものが減少するのに加えて,核家族化や独居による孤立不安,退職や死別による心理社会的ストレス,睡眠を妨げる身体合併症(夜間頻尿,痛み,痒み,認知症やうつ病など)の頻度が増加するためである.このように高齢者において睡眠が低質になる要因は極めて多様であり同時にいくつもの問題を抱えていることが多い。
高齢者の睡眠と睡眠障害
関連記事:アルツハイマー型認知症とは
原因となる病気による睡眠時随伴症
レビー小体型認知症の場合、夜中に起きて暴れたり、近所に聞こえるような大声で寝言を言ったりするようなレム睡眠行動障害と呼ばれる行動がみられることがあります。
関連記事:レビー小体型認知症とは
認知症による認識の変化
私たちは夜=眠るものという認識があります。大体の人が同じ認識を持っています。
この認識は、小さいころからの学習や経験の積み重ねでできています。
●「昼」「夜」というものがどういう状態なのかを認識できる
●「昼」と「夜」の違いが認識できる(昼=活動、夜=休息など)
●今が夜であるということを認識できる。
このような学習が積み重なって初めて『夜=眠る』『夜=休む』という認識ができるのです。
夜に何をして何をしないのかを判断し行動できるのです。
ところが認知症になると様々な原因により、認識ができなくなってきます。
例えば時間の見当識障害により、今の時間がわからなくなったりします。
そうすると、夜は眠るものとわかっていても、今が夜だとはわからなければ眠りません。
実際は夜でも、今が昼間だと思えば外出したり、部屋の掃除をしたりといった昼間にするような活動をする場合もあります。
また時間の見当識障害や記憶の障害により時間の流れがわからなくなってしまいます。
そうすると、いったんは寝たものの途中で起きてしまった場合、時間の経過があやふやになり、そこから活動が始まるのです。
他にも場所の見当識障害があれば、夜中に目が覚めてそこが自宅とわからなければ、自宅を探しに外出してしまうこともあります。
また、夜=眠るものという認識がなくなってしまえば、目が覚めたら活動して、眠くなったら眠るという生活になるでしょう。
このように認知症の人が夜眠れない原因は様々あります。
病気や加齢が原因の不眠と認識の変化が組み合わさり、夜眠れない+活動するということがおこるのです。
認知症の人に早く寝てって何回も言う、活動を止めようとすること自体がそもそも間違い
多くの人は、認知症の人に対し理屈や正論で説得しようとしますが、そのような事をしても事態は好転するどころかかえって悪くなることの方が多いでしょう。
なぜなら、認知症の人が夜眠らない+夜に活動する場合、ほとんどが睡眠障害に加えて認識の変化が起こっているからです。
認識の変化を怒ったり説得してもそれは認知症によるものなので、どうしようもありません。
介護者から見たら、『夜』ということを認識できていませんが、本人からしたら自分の認識が間違えているとは思っていません。
夜中の活動も本人なりの正当な理由があって活動しています。「家族のために働かなくちゃ」と思っている場合もあるでしょう。
それなのに眠りたくない(寝ていられない理由がある)のに何度も「夜だから寝て」と言われる、自分の行動や活動を遮られる、止められるとなるので怒ってしまうのです。
それどころか言動や行動を止めたり否定することで、嫌な感情だけが残り、ストレスが溜まり攻撃的な態度になってしまったり、他のBPSDにつながることがあります。
またレビー小体型認知症のレム睡眠行動障害では病気が原因で夜中に異常行動をしてしまい自分ではどうしようもないのです。(例えばけがをした時に、痛みを自分の力で治すことはできませんよね?)それを怒られても認知症の人本人は困ってしまいます。
介護者が夜眠るために必要なこと
ではこの場合の介護者が、辛くない毎日を送るためにはどうしたらいいのでしょうか?
それは、認知症の家族が夜眠ってくれることですよね?自分が眠れることですよね?
夜に眠ってくれれば活動もしません。そうしたら介護者も眠ることができ、辛くなくなります。
大体の人は、認知症の人を説得しようとして余計怒らせてしまいます。
しかし認知症の人が眠るためには説得をするのではなく、眠れるようにケアする事です。眠るために不足している部分を補う、手伝うことです。
そのためには、睡眠のどこに障害があるのかを知り、そこにアプローチする必要があります。
まずは夜眠らないのかそれとも一旦は眠るけど起きてしまうのかのどちらなのかを見極めましょう。
そしてそれぞれの原因を考えます。
例えば夜眠らないのであれば、昼間寝ている、心配事がある、ストレスがある、周りがうるさい、時間の見当識障害など
途中で起きてしまうなら、夜のトイレ、不安感、日中の活動量不足、記憶の障害など
原因を知るために、本人の話をよく聞くことや、観察することです。
原因がわかったらそれに対して対処していきます。不足している部分を補い、手伝いましょう。
また、ケアでどうにかなるものなのか、ケアだけではどうにもならないものなのかを見極めることも大切です。
例えば、夜中に起きて孤独が不安でうろうろする場合、隣で誰か一緒に寝ることで解決することもありますが、レビー小体型認知症によるレム睡眠行動障害で夜中にうろうろする場合は家族のケアだけでは難しいでしょう。
このように自分でできる事、できない事を見極めることで、認知症の症状に心も体も振り回されなくなりますし、症状と上手に付き合うことができるようになります。
でも、そうはいっても毎日夜眠らないで活動され、自分も眠れないとなると辛いですよね。原因探しなんてやってられない。そう思うこともあるでしょう。介護者が心身ともに疲れてしまうのは、介護をする上でもよくありません。
そういった場合は、介護サービスなどを上手に利用しましょう。
デイサービスやショートスティを使えば、介護と離れて眠る時間もとれ、専門職にアドバイスを受けることもできるでしょう。
まとめ
このように認知症の人の行動のどこに障害があるのかを知り、そこを補う、そこにアプローチすることで認知症介護は楽になります。
認知症のお母さんとの付き合いが辛くなくなった!そう思う方法があるのです。
認知症介護が楽になる、そのための知識と方法を学んでみませんか?
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