認知症のお母さんが毎日買い物へ行き、前日に買った同じものを買ってきて冷蔵庫に入れっぱなし。
認知症のお父さんが買い物に行って、必要のないもの、絶対に使わないようなものを買ってきて、冷蔵庫に入れっぱなし。
認知症の初期ではこのように買い物に行って毎日同じものを買ってきたり、周りから見たら不必要なものを買ってくることがあります。
このような場合、本に書いてあるケアの方法(例えば、買うものを書いたメモを渡す)で買い物が止まればいいのですが、止まらない場合も多くあります。
本に書いてあることを試してうまくいかないとイライラして怒ってしまうかもしれません。
しかし「もう〇〇を買ってこないで」と怒って買い物が止まればいいのですが、止まらないことの方が多いですし、仮に買い物は止まったとしても、他の認知症の症状がでてくる、そんな場合もあります。
そうなると、どう対応したら適切なのかと悩んでしまいますよね。
この記事では、認知症の人が同じものを買ってきたり、不必要なものを買ってくる時の対応方法についてお伝えします。
認知症とはどんな病気?
そもそもですが、認知症はどのような病気だと思いますか?
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったために様々な障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態(およそ6ヶ月以上)
厚労省HPより:厚労省『みんなのメンタルヘルス』
ちょっとこれだとわかりにくいかもしれませんが、認知症になると、認知機能が障害されることで、一人で日常生活を送ることがだんだん難しくなってきます。
認知機能には、記憶・計算・判断・理解・見当識・言語・思考などがあります。
認知機能が障害されると物忘れをしたり、憶えていなかったり、判断・理解をすることなどが難しくなります。
だから同じものを毎日買ってきてしまうのです。買い物のメモに必要なものだけを書いても、いらないものまで買ってきてしまうのです。
認知機能が低下して、何が足りなくて、何が必要なのかがわからなくなってしまうから、同じもの、不必要なものを買ってしまうのです。
この認知機能の障害というどうしようもないことをどうにかしようとしても、お互いのストレスになるだけです。
この障害された認知機能をどうやったら補えるか?
実はその考え方がストレスなく、またどんな場合でも対応方法を考えることができる秘訣なのです。
まずは行為の原因を知ること
認知症の人が同じものを買ってくる、不必要なものを買ってくるのは、様々な原因があり、人それぞれの理由があります。
しかし、その原因や理由を知ろうとせずに、対応方法、ケアの方法を考えることはできません。
なぜなら、原因や理由があって、結果があるからです。それらを理解して対応をしない限り、同じものを買ってくる、不必要なものを買ってくるという行為は止まらないでしょう。
いきなり答えを手に入れようとするのではなく、まずは結果(同じもの、不必要なものを買ってくる)の原因や理由を考え、そのうえで対応方法を考えること、認知症介護で先に必要なのはこのような考え方ではないかと思います。
同じもの・不必要なものを買ってくる時の対応方法
まずは認知症について正しく理解する必要があります。
そのうえで認知症のお母さんやお父さんが同じもの、不必要なものを買ってくる理由や、その時の感情を考えないと、適切に対応することができません。
なぜなら認知症の症状は、その人の過去から現在の環境に大きく左右されるからです。過去と現在の環境や感情が人の行動を作っています。
認知症の人は、何もわからないわけではなく、自分の意思や経験があります。ただ、その判断ができなくなっているだけです。
例えば、いらないと言っているのに、みかんを毎日買ってくる場合、誰も食べなくて腐っちゃうからいらないと言っているのに、買ってくる場合について考えてみましょう。
自分がみかんを好きで、冷蔵庫から切らせたくない、そう思って買ってくる。もちろんこの場合は、毎日みかんを買って、冷蔵庫の中がみかんだらけということは忘れている。
記憶のツボが壊れて、子供がまだ小さいと思っていて子供にみかんを食べさせるために毎日買ってくる。子供は大きくなっていて、もうみかんは食べないということは忘れている。
関連動画:認知症の人の記憶ってどうなっているの?
認識が変化して、みかんをみかんと思っていない場合もあるでしょう。
ちょっと考えただけでもこのようにいくつも理由が考えられます。
それぞれ原因や理由が違うので、対応は全く変わってきますよね。
例えば、みかんが好きで冷蔵庫から切らせたくないと思っている場合は、買ってくるものリストではなく買ってこないものリストを手渡した方が効果的でしょう。
また、子供のためにみかんを買ってくるようなら、感謝の気持ちを伝え、感謝の言葉と共に買ってこないものリストに書いておくのもいいでしょう。
認識が変化してみかんをみかんと思っていない場合は、なんだと思っているのかを考えて、それに対応すればいいのです。
このような理由やその行動をとる時にどんな感情を持っているのかを知ることで、どのような対応が適切なのかを客観的に考えることができるようになるのです。
こういったことを知らないで、本に書いてあるからと言って本のとおりに対応しても、解決しない場合が多いですし、事実を受け止められず、感情的になり、適切なケアができないことになってしまいます。
まとめ
認知症の人への対応は、なぜその行動をとるのかを学ぶこと、知ることです。その行動をとる時にどんな感情を持っているのかを知ることです。
それを知らないといっぺん通りのやり方しかできません。いっぺん通りのやり方しか知らないと、その人の原因や理由に当てはまらなかった時に、対応することが出来なくなってしまうのです。
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