認知症のお母さんが尿失禁してしまいます。
失禁自体はしょうがないと思うのですが、失禁しても、着替えてくれません。
濡れたズボンのままうろうろして、においもすごいんです。
おむつにしたほうがいいのでしょうか?
以前、このような相談を頂きました。
認知症介護をしている中ではこのように、失禁により服を汚したり、また床を汚したりということもあるでしょう。
また、今は失禁していなくても、認知症の進行とともに失禁する可能性は大いにあります。
『失禁をするから、おむつを使おう』
そう思って、おむつやリハビリパンツを使う人が多いのですが、それでも尿失禁の後始末に関する問題は解決しません。
認知症の知識を持ったうえで、尿失禁の対応をしないと、いくらおむつをしていても尿失禁に伴う後始末で悩むことになります。
この記事では、尿失禁にまつわるお悩みの対応方法についてお伝えしたいと思います。
認知症の家族が尿失禁した場合、あなたはどう対処しますか?
尿で汚さないようにとおむつをしたくなる気持ちもわかりますが、おむつをしても解決しないことがあります。
なぜなら、
おむつをしていても、おむつを下げてトイレ以外の場所で用をたす。
失禁で汚れたおむつをいつまでも交換しない。
体が尿で汚れていてもお風呂に入らない。
おむつを使用しても、このような可能性があるわけです。
●トイレ以外の場所で排泄する
●汚れたものを交換しない
●汚れを落とすことができない
といった尿失禁後の後始末が自分でできないということは、おむつをしてもしなくても変わらないので、根本的な解決にはならないのです。
なぜなら、尿失禁をすることと、着替えやお風呂を拒否することは、別の問題だからです。
わけて考える必要があります。
このような場合、失禁した後のことを考えるより先に、まずは、尿失禁しないように介助したほうがうまくいきます。
認知症による尿失禁の原因と介助方法
尿失禁はいろいろな病気からも起こりますが、認知症による尿失禁は、膀胱や尿道、筋肉などの機能の問題というより、排泄に関する判断や動作がスムーズにいかないために起こります。
認知症による尿失禁といっても、尿意がある場合と尿意がわからない場合があります。
(尿意とは、尿がしたいという感覚のことです)
尿意があるのに尿失禁してしまうのは、
●トイレの場所がわからない
●トイレで何をしていいのかわからない。適切な行動がわからない
●排泄をする適切な場所がわからない
●排泄の手順がわからない
このような理由からです。
これらのどの部分に当てはまるのか、どこがわからなくなっているかを見極め、ケアします。
例えば、トイレの場所がわからない場合、トイレと明記することで、トイレでの排尿を促す。
一人では、排尿するための適切な行動がわからないようなら、そわそわするとか、ブツブツ言う、部屋の隅に行くなどのその人特有の尿意のサインを介護者がキャッチし、トイレに誘導することで、トイレで排尿できるようになるでしょう。
また、適切な間隔でトイレに連れていくことで、尿失禁を防ぐことができる場合も多くあります。
尿意がわからない場合は、
膀胱に尿が溜まって、尿意を感じないまま、反射的に尿を漏らしてしまい、尿失禁となります。
この場合は、適切な間隔でトイレに連れていく事で、尿意が無くても、トイレで排泄できる場合もあります。
また、おむつやリハビリパンツで漏らした尿を受けとめることで、尿による汚染を防ぐことができます。
このように、尿による汚れや臭いがあるからと言ってやみくもにおむつをするのではなく、尿による汚れや臭いの原因となる尿失禁にアプローチすることで、着替えや入浴を拒否する人でも、排尿によりズボンも床も汚れないし、ひどく臭うということもなくなり介護者の精神的負担、身体的負担も減ります。
また、認知症の人の尊厳、プライドが傷つくのを防ぐこともできるでしょう。
※いずれの場合も、おむつを使用してはいけないというのではなく、おむつの持つ意味を知り、適切な排尿ケアが必要だということです。
認知症ケアを楽にするためには、原因を知り対応すること
認知症という言葉を聞いたことがあり、そのために尿失禁があるというのは何となくわかっている人も多いと思います。
しかし、認知症による尿失禁の原因がわからないと、尿失禁にまつわる汚れや臭いなどの問題を解決することはできません。
相手を理解する為には、相手のことを知らなければいけませんよね。
認知症の人も同様に、認知症のことを学ぶことで理解が深まります。
認知症のことを学び、症状の原因を知り、アプローチできる場所を知ることで、対応方がわかり、認知症の症状に振り回されなくなります。
日本高齢者アタッチメント協会では、認知症を理解し、認知症の人との関係性を構築できる、認知症の人と信頼関係を築き、認知症介護が楽になるセミナーを行っています。
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