認知症初期では、一人で外出することもでき、家までの帰り道が分からなくなってしまう場合もあります。
認知症の家族を持つと、あらゆることが不安になってしまい、なるべくどこにも行かないように、家族の目の届くところにおきたいという気持ちはわかります。
しかし、まだ認知症初期の時では通常の生活ができると思っているので、介護者の言うこともなかなか聞いてないこともありますし、心配する気持ちから、「一人で勝手に出かけないで!」と怒ってしまうと関係性が悪化してしまったりという問題も起こると思います。
認知症の介護で多い悩みに、認知症の人が、一人で外出する際の対応方法があります。
「ちょっと近所に出かけてくる」
そういって出かけたけど、1時間経っても帰ってこない。そのうちにもっと時間が経って、警察に相談しようとしたところ、10キロ離れた隣の町にいたと警察から連絡がある。
こんなことがあると、行方不明になったらどうしよう?と家族としては心配になりますよね。
一人で出かけないでと言っているのに
一人でどこかに出かけたはいいけれど、いつまで経っても帰ってこない。
家族が心配していると、警察が保護していたり、知らない人から連絡が入る。
外出先から「帰り道がわからなくなっちゃった。どうしよう」という電話が入る
一度このようなことがあると、「一人で出かけないで」と話をしても、同じようなことが繰り返される可能性が高いです。
自分のいる場所がわからなくなってしまう
「一人で出かけないで!」そう言いたくなる気持ちもわかりますが、そう言っても出かけてしまう可能性はあります。
なぜなら、記憶障害により「一人で出かけないで」と言われたことを忘れてしまうからです。
また、認知症の進行により、自分のいる場所の見当がつかなくなってしまいます。(場所の見当識の障害)
現在地がどこなのか、どこにどうやって帰ればいいのかなどの見当がつかなくなってしまうのです。
例えるなら、土地勘のない場所に旅行にいき、地図も持たずに遊びに行ったら、ホテルまでの帰り道がわからなくなってしまうようなものです。
そこで地元の人に聞いたり、タクシーに乗ったりと誰かに頼るとか、地図を見て自分の居場所と帰る場所の把握ができればホテルに帰ることができます。
しかし、認知症になるとそれらができないから一人で帰ることができなくなってしまうのです。
対応のポイント
この場合は、一人で出かけないでと言っても忘れてしまうので、一人で出かけてしまう前提で、
◎帰る場所(住所)を書いてあるものを身に付ける
◎現在地がわかるものを身に付ける
身に付ける時のポイントは、必ず、身につけられるようにするということです。
せっかくGPSなどを準備していても、出かけるときに持っていなければ意味がないですもんね。
まずは本人と家族の安心を
認知症になると記憶障害により、自分の家の住所を忘れてしまうことがあります。
また、知らないところに来てしまったという不安な気持ちからパニックを引き起こし、普段ならわかる自分の住所も、ど忘れしてしまう可能性もあります。
自分の状況を説明することも難しいし、周りに気持ちを向けることができないので、誰かに助けを求めることもできません。
そうすると、帰る場所もわからないのに誰かを頼ることもできないので、家に帰れなくなるのです。
また家に残された家族が心配する理由は認知症の人の現在地がわからないからです。
認知症の行方不明者数は1万人を超すと言われています。一番困るのは、どこにいるのかがわからなくなって、行方不明になることだと思います。
一人で出かけて道に迷ったとしても、現在地がわかれば迎えに行くことができるので家族も安心することができるでしょう。
まとめ
認知症の人は、誰かを困らせようとか思っているわけではなく、ちょっと散歩に行こうとか、ちょっと買い物に行こうとか目的があって出かけます。
目的があって出かけるわけですから、出かけないでと言われて外出を止めることは難しいのです。
出かけて家に帰れないという事態を防ぐのに一番いいのは、一緒に出かけることですが、仕事もあるし、家事もあるし自分の用事もあるしで、常に一緒にいるのは難しいでしょう。
ですから、万が一、認知症の人が一人で出かけてしまったとしても家に帰ってこれるような工夫を知り、いざという時に備えましょう。
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