2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
親が認知症になったらどうしよう?そう思っている人もいると思います。
先日「90歳の親がいます。年なりに物忘れとかがありますが、このまま認知症にならずに人生を終えて欲しいと思っています。なにか方法はありますか?」このようなご質問をいただきました。
確かに、高齢になればなるほど、認知症のリスクは高まります。90歳~95歳の人の認知症有病率は男性49.0%、女性65.1%全体では61%と6割超の方が認知症を発症しています。ちなみに95歳以上では約8割の方が認知症を発症しています。
引用:首相官邸 認知症年齢別有病率の推移について
家族としてみればいくつになっても、親には元気でいて欲しい、認知症にならないで欲しいと思いますよね。
このような場合、多くの人は認知症予防にいいと言われている食事や運動、脳トレのドリルなどを勧めたりします。
思いが強ければ強いほど、義務のように勧めてしまうこともあるでしょう。
もちろん、食事や運動といった生活習慣を整えることは認知症予防に効果的と言われています。
しかし、本人が楽しんで、喜んでやるのならいいのですが、義務感などで嫌々やるようであれば認知症予防には逆効果となってしまうでしょう。
それどころか、認知症予防にいいからと無理にすすめてしまうと、親との関係性が悪くなったり、万が一親が認知症になった時、認知症のBPSDと呼ばれる症状が強く出てしまう可能性もあります。
親の為を思って認知症予防を勧めているのに、関係性が悪くなるなんて、辛いですよね。
そこで、この記事では、高齢の親が元気で人生を過ごすのをサポートしつつ、関係を悪化させないために必要な考え方を中心にお伝えしたいと思います。
そもそもなぜ親に認知症になって欲しくないのか?
親には元気でいて欲しい、認知症にならないで欲しいとは誰でも思うことだと思います。
では、なぜ親に認知症になって欲しくないのか?
その裏に隠されたものってありませんか?
いろんな気持ちがあると思いますが、認知症にならずに、よりよい人生を送って欲しい。そんな思いもあるのではないでしょうか?
そう思って、「認知症になって欲しくない」「認知症予防にいいから」と食事や運動、脳トレに気を遣うことはとてもいいことですが、顔を合わせるごと・ことあるごとに、『あれもだめ、これもだめ』『あれをやりなさい、これをやりなさい』といろいろな制限をしたり、本人のやりたくないことをやらせると(それも半ば無理やり)ストレスが溜まります。
また食事や運動、脳トレの内容によっては、できない事も出てくるかもしれません。その「できない」を自覚し、必要以上に傷ついてしまうこともストレスの原因になります。
ストレスは認知症の大敵です。体にいいことをしているつもりでも、やり方によっては認知症のリスクを高めてしまいます。
より良き人生を送ってもらうために、認知症になって欲しくないと思っているのに、このように様々なことを制限されたり、強要してストレスになってしまうのでは本末転倒です。
ですので、重要なことは「認知症予防のための〇〇」という方法だけを追い求めるのではなく、『より良き人生を送るにはどうしたらいいのか』ということが最初に考えて欲しいことです
認知症を予防し、より良い人生を送ってもらうのに大切なこと
認知症予防のためには、食事や運動などの生活習慣を整えることが効果的と言われていますが、それ以上に大切なのは、『好奇心』『心がワクワクすること』『自分が役に立つ居場所がある』です。
ですから、親に認知症にならずより良き人生を送ってもらいたいと思うのなら、親がやりたいこと、好奇心を持って取り組めること、心がワクワクすること、自分が役に立っていると思えることやそういう場を提供しましょう。
そうすることで、脳の神経伝達物質が分泌されて脳が活性化されたり、記憶力を高めたり、やる気を出させたりする働きがあり、高次認知機能を活性化することがわかっています。
また、心理的・物理的に遠くから言うのではなく、一緒にやりましょう。
年を取るにつれ、一人で新しいことをやる、新しいところに行くのはおっくうになる傾向があります。
例えば、「運動のために、1時間くらい外を散歩してきなよ」と言って一人で行かせようとするのではなく、一緒に散歩に行く、出かけるようにする。
気持ちも体も隣にいるということです。
別に最初から一人で行ける人にこのような事をしろと言っているのではなく、自分一人ではなかなか動けない人に対し、遠くからいうのではなく、隣で一緒にやってみましょうということです。
あなたも「〇〇やったほうがいいよ」と言うだけ言って放置されるより、一緒にやってもらった方が、やりやすかったという経験がありませんか?それと同じです。
このように、認知症にならずに、よりよい人生を送ってもらおうと思うなら、親が持つリソースを活かせるように援助しましょう。
認知症予防にとらわれず、親の希望や人生を言語化すること
親の持つリソースを活かすためには、親のことを知ること、親のことを教えてもらうことです。
親の好きな事、嫌いな事、やりたいこと、やりたくない事、希望や価値観、人生の軌跡などを言語化してもらう、やりたいことをリストアップしてもらいましょう。
親が一人で書くのが難しいとか、腰が重いようなら、一緒に作成するのも、とてもいいと思います。
親がより良い人生を送るためには何をすればいいのか?それを発見することが一番大切です。
このように親の好き嫌いや希望などを言語化する、言語化してもらうのは大変かもしれません。
しかし、言語化しておくことで、万が一認知症になった時にも役立ちます。
生活習慣の改善は認知症予防になるという研究は進んでいますが、今の医学では、認知症を完全に予防することはできません。認知症予防をしていたとしても、認知症になる可能性は0ではありません。
ですが、好きな事や嫌いないことなどを言語化しておくことで、万が一認知症になったとしても、ストレスが少なく、よりよい人生を送ることができます。
認知症予防にストレスは大敵ですが、認知症になるとそれ以上にストレスが認知症の症状に悪影響を及ぼします。
また、自分が役に立っていると思える事、自分の居場所があるということは、認知症予防にも重要ですし、万が一認知症になってしまった場合には認知症の症状の悪化を防ぐことができます。
親の好き嫌いや希望など、「親のこと」を今一度考えてみませんか?
私たちは、自分の希望などを言語化する「自分の取扱説明書」を作るというセミナーなども行っています。
親に認知症になって欲しくない、万が一認知症になってしまっても、よりよい人生を送ってもらいたいと思っている方はぜに一度セミナーを受けてみてください。
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