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これだけは知っておきたい!物忘れへの避けたい対応例・好ましい対応例

記憶の障害

 

認知症の症状、認知機能の障害の一つに記憶の障害があります。

(※障害とは、何らかの原因で、機能が上手く働かないこと、機能を果たせないことを言います)

 

記憶の障害って聞くと、どのようなイメージを持ちますか?

 

よく認知症の人の記憶の障害(物忘れ)というと、自分の子供の名前を忘れる、食事を食べたことを忘れるなどと思われがちですが、忘れていくのは何も名前とか直前の行動などだけではありません。

 

このブログでは、記憶の障害の仕組みと記憶の障害への対処方法についてお伝えいたします。

 

 

記憶の障害の仕組み

 

記憶の障害は、文字通り記憶が障害(上手く働かないこと)された状態です。

認知症の原因となる病気によって、脳の神経細胞は減少したり死滅しますが、それにより、記憶の障害がおこってきます。

なぜなら脳神経細胞同士の繋がりによって記憶はつくられていると考えられているからです。

 

ですから病気によって脳の神経細胞が減少したり死滅すると脳神経細胞同士の繋がりが切れ、記憶の障害がおこってきます。

 

記憶は、短期記憶や長期記憶、手続き記憶などいくつかの種類に分類され、また病気の進行度合いや病気の種類により、記憶障害の記憶障害の種類や程度が異なります。

 

 

記憶の障害への対応方法

 

記憶障害の症状と程度に応じて対応しましょう。

 

 

短期記憶の障害への対応方法

認知症の初期(特にアルツハイマー型認知症)は短期記憶の障害が出てきます。数分前のことを忘れて、何度も同じことを聞いたり、話したりします。また体験自体を忘れるので、直前の行動を忘れ、同じことを繰返すこともあります。

 

 

× 避けたい対応例

「さっきも言ったでしょ!」「思い出して!」など忘れたことに対し怒る、無理に思い出させようとする。
『忘れる=悪い』という印象を与える。

 

 

 好ましい対応例

メモを活用する、携帯のタイマーを使うなど、繰り返す・可視化する・時間でわかるようにする。

 

 

 

長期記憶の障害への対処方法

認知症が進行してくると長期記憶にも障害が出てきます。例えばもう無くなった実家に「帰る」と言う、子供は成人しているのに「幼稚園に迎えに行かなくちゃ」と言うなど、最近のことを忘れるのはもちろんのこと、5年、10年単位で忘れてしまいます。

 

 

× 避けたい対応例

「とっくに実家は無くなったでしょ」「もう成人しているだろ」など、本人の認識を否定する。

 

 好ましい対応例

「実家に帰りたいのね?」「子供のお迎えの時間なのね」など、本人の認識を認めて話をする。

 

 

 対応のポイント

脳神経細胞の繋がりを増やすような努力をすることで、認知症の進行を遅らせることは可能だと思いますが、物忘れ自体は「努力次第でどうにかなる」と語られても、病気が原因で脳神経細胞が減少し、その為記憶障害が起こっているので、精神論でどうにかなるものではありません。

無理に思い出させようとする、怒る、本人の認識を否定するようなことをしても、お互いに気分が悪くなり、認知症の症状も進む可能性の方が高くなります。

 

 

記憶の障害の進行と対応

記憶の障害が進行してくると(忘れることが多くなってくると)いままで学習してきたこと(経験や言葉も含む)も少しずつ忘れていきます。

まずは車の運転や財産や薬の管理など高度な技術や認知機能を要することができなくなってきます。そのうち、日常生活の中で道具の使い方を忘れたり、やり方を忘れたりして日常生活に介助が必要になってきます。

 

× 避けたい対応例

「どうしてできないんだ」「思い出してごらん」「しっかりして」「そうじゃないでしょ!」

できないことを責めたり、否定する。

どうしてできないのかは本人にもわかりません。認知症のせいで、できないのです。

 

 好ましい対応例

「○○やって」「一緒にやろう」などの声掛けや、行動を可視化する

行動を遮られると腹が立ちますが、行動を導くと感謝がうまれます。

 

 

行動を可視化するメリット

認知症になると想像すること、考えることが難しくなり、見えないものはわからなくなります。
行動を可視化することで、過去にやったこと、今やること、これからやることが明確になり、安心して行動することができます。

 

 

 

まとめ

私は、記憶というものは、認知機能の原点と考えています。記憶があるからこそ、判断や理解、計算や実行機能などの認知機能に繋がります。

 

それは例えば、成功した行為や失敗した行為を憶えているからこそ判断もできるし、1+1=2を憶えて加算の意味を理解しているから3×5の乗算ができるようになるわけです。

 

しかし、認知症になると、病気が原因で脳の神経細胞が減少したり死滅することで、その「記憶」に障害が出てしまいます。

 

認知症の人は、何もわからなくなった人とか、何も出来なくなった人とかとらわれがちですがそうではなく、記憶の障害により、できることが減っているだけだと私は考えています。

失った機能を介助者が理解し、記憶の手助けとなる適切な援助をすることで、持っている能力を最大限に引き出すことができるのです

 

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