最近よくMCIという言葉がきかれるようになりました。平成24年ではMCIといわれている高齢者は400万人。
ではMCIとは何なのでしょうか?MCIと診断されたら必ず認知症になるのでしょうか?
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MCIとは
MCIとは、軽度の記憶障害はあるが、一般的な認知機能は問題なく日常生活にも支障がない状態で、認知症と健常の間のグレーゾーンのことをいいます。
ある日突然認知症になるわけではなく、年齢を重ねるとともに、徐々に脳の神経細胞が変化(変性)していきます。そして10年~20年ほどかけて認知症になるわけですが、認知症になるその前段階がMCIといえるでしょう。
MCIの診断基準
記憶機能の低下が前駆的な段階での主要な兆候であることから、Petersen ら(1999) によって記憶低下に着目した MCI の概念が提唱されました。
MCI(軽度認知障害)の診断基準(Peterson RC ら、1996)
1.記憶に関する訴えがあること、情報提供者による情報があればより望ましい
2.年齢と教育年数で調整した基準で客観的な記憶障害があること
3.一般的な認知機能は保たれていること
4.日常生活能力は基本的に維持されていること
5.認知症でないこと厚労省認知症予防・支援マニュアル (改訂版)より
しかしこの概念は、認知的 8 低下が記憶機能の低下のみに限定されている点が批判され、2003 年には、国際老年精神医 学会の専門委員会により拡張された広い概念が提唱されました。
MCI(軽度認知障害)の診断基準(Winblad B ら、2004)
1.認知症または正常のいずれでもないこと
2.客観的な認知障害があり、同時に客観的な認知機能の経時的低下、または、主観的な低下の自己報告あるいは情報提供者による報告があること
3.日常生活能力は維持されており、かつ、複雑な手段的機能は正常か、障害があっても最小であること。厚労省認知症予防・支援マニュアル (改訂版)より
MCIの症状
ワーキングメモリの障害
家事や仕事など、注意力が必要な行為にかかる時間が以前より長くなったり、間違いが多くなります。
自覚があるので、何度も確認するといったこともあります。
また洗濯の合間に調理をしたりといった、同時に二つのことをこなすのが難しくなってきます。
実行機能の障害
料理の段取りが悪くなったり、段取りが必要な行為が難しくなります。また、たくさんの人との会話(コミュニケーション)が難しくなる場合もあります。
記憶の障害
最近の出来事を思い出すことが難しくなってきます。
メモなどを見れば(ヒントがある)思い出すことはできます。
最近の出来事を思い出すのが難しいため、同じことを何度も言ったりします。
言語の障害
適切な言葉が出てこなくて、「あれ」「それ」などの言葉が増えてきます。人の名前もでにくくなってきます。
その他
金銭の管理が難しくなってくる
趣味などに関心を示さなくなってきた
など
MCIの症状にはこのようなものがあります。
自分でも、今までスムーズにできていたことが、スムーズにできなくなり、それがなぜなのかがわからないといったことがあるでしょう。
頭が働かないという自覚から、調子が悪い、体の不調だと言う方もいます。
MCIの検査方法
●問診・視診
●改訂長谷川式スケールなどの神経心理学テスト
●MRIなどの脳の画像診断
●血液検査など
これらにより、総合的に診断されます。
MCIと診断されたら
MCIと診断されたからと言ってかならずしも認知症になるとは限りません。
認知症に移行する割合は5%~15%、認知機能がもとに戻り、再度検査して正常と判定される人は14~44%との報告があります。
減少した脳神経細胞やネットワークがもとに戻るの?と思うかもしれません。
認知症予防のブログでも書いていますが、ある部分の脳神経細胞が減少し、ネットワークが減少しても、脳を活性化することで、新しいネットワークを作ることができます。
新しいネットワークは、減少したネットワークを補ってくれます。
そのためには、知的活動、食事、運動、社会活動などの生活習慣を整えましょう
まとめ
MCIと診断され認知症になってしまうかもと思うと、辛いかもしれません。しかし、自分の人生を見つめ直すきっかけと考えることもできます。
早い段階で気付き、生活習慣を見直す、人との関わりを考える、なにか趣味になるものを始めてみる、など新しい活動をすることで、脳神経細胞の新しいネットワークを作り、MCIから正常に戻る可能性は大いにあるのです。