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否定はしちゃだめ?認知症の家族が「私のモノをお前盗っただろう?!」と言う場合の対応方法


認知症で財布がなくなったと言い張る祖母

2025年には700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。

認知症による症状は様々で、物忘れをするだけではなく、人によっては、自分の大事なものを家族が持って行ったとか、自分の大事なものを家族に盗られたといったいわゆる『モノとられ妄想』と言う症状がでる事があります。

そういった時、認知症の人の症状がどこからきているのかがわからないと、うまく対応できないことがあります。

以前、このようなご相談がありました。

認知症の祖母から電話がありました。貸したもの返せ!なんでも持ってく!と怒鳴られました。そもそも祖母のものなんて興味もありませんが、認知症は否定しない方がいいと聞いたので、どうせ忘れるからと今度返すと言っておきました。しかし、今度返すと言ったことは覚えてしまって厄介です。どうしたらいいですか?

このような場合、認知症の人のいうことを否定しない方がいいし、どうせ忘れるからと思って「今度返すよ」などと言ってしまうと、「今度返す」=「盗った、盗られた」という認識になります。

その「盗られた」という部分はしっかり覚えていて、「早く返せ!」と毎日いわれたり、毎日電話がかかってくるなどと対応が大変になる場合があります。

もちろん、認知症の人のいうことを否定しないということは大切ですが、この方法だと、そのうち泥棒と思いこまれ、不信感を持たれ、他のものがなくなった場合でもあなたのせいにされるなど、それから先の認知症の人との人間関係が悪くなってしまいます。

またいわれもなく泥棒呼ばわりされたり、親戚中にあなたが泥棒だと言われてしまう可能性もあります。

認知症の人のことを考えて対応したのに、反対にあちこちの人間関係が悪くなってしまう。

そうならないためにも、このブログでは、認知症の人が「〇〇がなくなった!お前が持っていったんでしょ!」などと言う場合の対応方法についてお伝えします。

認知症でモノとられ妄想がでる理由

認知症の人が、「〇〇がない。誰かに盗られた、持っていかれたからだ」などと言うとき、もちろん本当に盗られた、持っていかれた可能性も否定できませんが、たいていの場合は自分で片付けてその場所を忘れてしまい、見つけることができなくなっていることが多いです。

認知症じゃなければ、片付けた場所は思い出せなくても、片付けたという行為は思い出すことができるので、自分が片付けたからだと納得することができますが、認知症になると認知機能障害記憶障害があるので、自分が片付けたという行為を覚えていません。

そのため、大事なものがない=誰かが持って行った、盗られたという発想になります。

これは認知症による認識の変化によるものなので、「誰も盗らない。持っていかない。自分で片付けたのを忘れているだけだ」などと理論や正論で説得しようとしても、余計に話がこじれるだけです。

またそういった認識の変化だけではなく、過去や現在の環境執着、怖いとか不安とかのネガティブな感情などの様々な因子により、モノとられ妄想は出現します。

でも記憶障害があるからそのうちなくなったことも忘れるんじゃないの?

そう思うかもしれませんが、認知症になると記憶障害で物事を忘れてもその時の感情は強く残ります。

記憶は感情と強く結びついています。

認知症で記憶障害があっても、強い感情を伴うことがあると、細かい内容は覚えていなくても、大まかな概要は覚えています(この場合は、貸したものを返さない、なんでも持っていくということ)

執着しているモノを「盗られた」と言うことが多いですが、執着しているからこそ感情も強く働き、「盗られた」という間違えた認識をいつまでも覚えているのです。

認知症の人のモノとられ妄想に対応するときに大切なこと

多くの認知症介護の本などでは、『認知症の人の言うことを否定しないようにしましょう』と書いてあります。

もちろん認知症の人のいうことを否定しないというのは大事なことです。

しかし否定しない=やってもない罪を認めるということではありません

否定しないということは、なくなったということを否定せず、相手の認識を認めるということです。

「なくなったんじゃなくって、自分で片付けて忘れちゃっただけでしょ」ということを言わないということです。

ですから、認知症の人のいうことを否定しないということは「今度返す(盗った・持って行ったと言っているようなもの)」と言うのではなく、「持って行ったのは自分ではないけれど、ないと困るだろうから一緒に探そう」などとおばあさんのココロに寄り添うことです。

「大切なモノが無くなったの?」

「それは心配だよね。」

「一緒に探そうか?」

このように、認知症の人の背景を知り、感情に寄り添いましょう。

家が遠くて、一緒に探せないようなら、親に言って、誰かに一緒に探してもらうようにしてもらったり、自分がとったんじゃないから被害届を出そうと提案するのも一つの手ですし、何度も同じものがなくなるようなら、紛失防止タグなどを利用するのもいいでしょう。

このように、認識を否定したり、理論や正論で説得するのではなく、納得を目指しましょう。

また周りの家族は、モノとられ妄想や被害妄想があることを知り、盗ったという人を責めないようにしましょう。

もし盗ったという言葉を信じるのならきちんと調べましょう。

このような場合は、小手先のテクニック、例えば相手を納得させるテクニックを使うことも大切ですが、それよりも大切なのは、背景を探る、なぜその行動が起こっているのかを探って、解決しようとすること、それを同時進行で行うことです。

認知症介護を楽にするためには認知症の人の症状がどこからきているのかを知る必要がある

認知症の人の症状がどこからきているのかがわからないと、対応することは難しいです。

「ものとられ妄想」という症状名をつけることは簡単ですが、その症状がどこからきているのか、なぜ「盗られた・持って行った」と言うのか、などの理由や背景を知らないと、対応することはできません。
またその背景は人それぞれ違います。

それを知らないで対応すると症状がひどくなったり、介護者が強いストレスを感じるようになります。

そのような事を防ぐためにも、認知症とはどのようなものなのか?なぜその行動をおこすのか?

どんな認識があって、どんな認知機能障害があるのか?

など、認知症の人から見た世界はどのようになっているのか?を知っておく必要があります。

これがわからないから、介護するときにイライラしたり、どうやっていいのかわからないのです。

認知症の人の頭の中や、認識がどのように変化するのか?を知ることができれば、認知症になった方への適切な対応やコミュニケーションをとることができます。

考え方さえわかれば、一定の症状だけではなく、他の症状に応用することもできます。

認知症の症状の原因がわかり、症状への対応方法がわかったら、安心ではありませんか?

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