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認知症の人が食事を食べない場合、調理方法を工夫することで食べられるようになる

高齢の認知症の家族の食事、どんな味付けをしているでしょうか。

年をとって、血圧も心配だし、動脈硬化も心配だしと体のことを考えて、なるべく塩分を少なく、薄味にしたくなる気持ちもわかります。

でも、味付けが薄いと、食欲がでない、そんな場合もあるのです。

 

 

体のためを思って調理しているけど

もう年をとったから、あまり塩分は取らない方がいいだろうから、薄味にしよう。そう思って、調理しているけど、あまり食べてくれない。

 

高齢になると、体の具合に気を使う必要があるのに、薄味の食事は食べない。かといって、あまり濃い味付けにするのも抵抗がある。

 

体のことを考えて調理しているけど、食べてくれないとなると、栄養不足などの心配が出てきてしまいます。

 

 

味覚や嗅覚が鈍感に

なぜ薄味だと食欲が低下するのかというと、大きな原因として、高齢になると、舌の「味を感じる部分」が少なくなり、味を感じにくくなります。(味覚の低下)

また、嗅覚も低下するので、匂いを感じにくくなります。

味には甘味、塩味、酸味、苦味、うま味がありますが、これらがない食べ物を食べたいと思いますか?

無味無臭のものに対して食欲はあまり湧かないですよね。

例えるなら、風邪を引いて鼻が詰まっている時に食べる食事。

ちょっと想像してください。今日食べた食事の味がほぼなかったら・・・。

今日食べた味の、10分の1しか味がしなかったら、どうでしょうか?美味しいと思いますか?また食べようと思いますか?
もしかしたら、途中で食べるのをやめてしまうかもしれませんね。

それと同じことが起こっているわけです。

それに加え、私たちであれば、体のためを思って薄味にするという理屈が理解できますが、認知症により理解力が低下したり、記憶の障害があると、薄味にする必要性がわからなかったり、忘れてしまったりします。

そうすると、薄味だけど我慢して食べるということができなくて、食欲の低下につながってしまうのです。

 

 

対応のポイント

このような場合、食べれる量を少しでも多くしたいと思うなら、味が感じられる工夫をしましょう。

 

味付けVS栄養不足

摂りすぎはよくありませんが、塩分も糖分も体にとっては必要なものです。

高血圧や糖尿病など持病がない場合には、あまり制限をして薄味にしてしまうと、食欲が落ち、栄養不足になる可能性もありますから、食欲が落ちない程度の味付けをしましょう。

塩分の取りすぎで病気になったり、糖分の取りすぎで病気になったりと心配かもしれませんが、これらの病気は生活習慣病ですから、すぐに病気になるわけではなく、時間をかけて高血圧や糖尿病になります。

若い時から、健康に気をつけて塩分や糖分を取りすぎていなければ、80歳を超えて、少し増えたからといって、急に病気になる可能性は低いです。

 

しかし、食事が摂れず栄養不足になると、抵抗力が落ちたり、病気になりやすくなったりするリスクが高くなります。

 

ですから味覚の変化により、食欲がなくなってしまっている場合には摂りすぎない程度に味付けをすることで食欲が戻ることもあるでしょう。

もし、高血圧や糖尿病がある場合には、食欲などとのバランスも考えながら、どの程度まで塩分や糖分を摂取していいのかを主治医に相談しましょう。

 

味付けの時の工夫

塩分や糖分に頼りすぎず、他の味で補うのもいいでしょう。

人によって、味覚の低下は差がありますが、出汁を濃くして旨味を利用する、レモン汁など酸味を利用する、適度な辛味を利用するなどで、低下した味覚を補うことができます。

またスパイスを使って、鼻から食欲を刺激するのもいいでしょう。

 

*出汁を濃くする場合は、市販の出汁には塩分が含まれていることが多いので、塩分が含まれていない出汁を使用したり、自分で出汁をとることをお勧めします。

 

 

調理方法の工夫

食材自体に味が付いている方が、しっかり味を感じることができます。

 

  • 煮物などは、一度冷まして味を染み込ませてから食卓にだす。
  • 食材に片栗粉などをまぶして調理し、食材に味がからむようにする。
  • 食材にフォークなどで穴を開けて調味料が浸透するようにする。
  • 新鮮な食材やうまみのある材料を選ぶ。
  • 温かいものは温かく、冷たいものは冷たく出す。

 

このように調理方法を工夫することで、少ない調味料でも美味しく感じます。

 

 

味覚の変化には調理の工夫を

高齢になると薄味にしないといけない、そう思うかもしれません。しかし、それが原因で食欲が低下してしまう場合もあります。

味覚の低下は徐々に起こってくるので、本人に食欲がない理由を聞いても、本人もわからないことがあります。

以前、家では食欲がないと言われている方が、デイサービスでは、海老のチリソースを全て平らげ、またチリソースをご飯にかけてしっかりと食べたことがあります。

その海老のチリソースは、塩分が多いわけではなく、片栗粉を使うことで味が絡み、なおかつ少しだけ唐辛子が入っていたのです。

 

このようなちょっとした工夫で、普段以上に食べることができるのでしょう。

 

 

まとめ

高齢になると、多くの場合、様々な原因で味覚が低下します。そのため、若い時と同じ味付けでも、味が薄くなったと感じます。また、嗅覚も低下していると、さらに味を感じにくくなります。

味覚が低下することで、食欲が低下してしまうのです。

 

毎回、食事の工夫ができればいいですが、難しい場合もありますし、味付けの程度などがわからないこともあるでしょう。

 

今は、栄養管理がされている介護食や宅配もありますから、食べる分として利用するのはもちろんのこと、味付けや調理方法の参考にされてみてはどうでしょうか。

 

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